歯がなくなるとどうなる?歯を失う原因と治療法
私たちの歯はとても丈夫な組織ですが、年齢を重ねるごとに減っていくのが一般的です。厚労省や歯科医師会が「8020(ハチマルニイマル)運動」を推進しているのも、放っておくと80歳で20本の歯を残せない人が大半を占めるからです。そこで生じるのが「歯がなくなるとどうなるのか?」という疑問です。
もちろん、失った歯の本数やその時の年齢によって影響が大きく変わってきますが、いずれにしても患者さんにとってデメリットになることは間違いありません。今回はそんな「歯がなくなるとどうなるのか」という疑問に、東陽町のナオデンタルクリニックがお答えします。
目次
歯がなくなる主な原因
歯がなくなる原因は、公益財団法人8020推進財団が行った「永久歯の抜歯原因調査」の結果が参考になります。おそらく皆さんも日本人が歯を失う原因第一位が虫歯ではなく歯周病という話を耳にしたことがあるかと思いますが、その論拠となっているのがこの調査結果だからです。ここでは、抜歯の原因の第5位までご紹介します。
【原因第1位】歯周病(37.1%)
歯の周りで歯垢・歯石が堆積して、細菌が繁殖すると歯茎に炎症反応が起こります。これを歯周病といいます。歯周病が進行すると、歯茎に加えて歯根膜や歯槽骨にまで炎症が広がり、最終的には歯周組織が歯を支え切れなくなって抜歯を余儀なくされるのです。歯がなくなった人の4割近くが歯周病を原因としていることに驚かれた方もいらっしゃるかと思います。
【原因第2位】虫歯(29.2%)
細菌が作り出す酸によって歯質が溶かされている病気が虫歯です。虫歯になると、目に見える形で歯がダメージを受けていくことから、最終的に抜歯が必要となることも容易に想像できるかと思います。
【原因第3位】破折(17.8%)
交通事故や転倒などのトラブルで外傷を負った際、歯が欠けたり、折れたりしたものが破折に該当します。その中でも歯根破折は抜歯になる可能性が高いため、十分な注意が必要です。
【原因第4位】埋伏歯(5.0%)
埋伏歯(まいふくし)は、歯茎の中に埋まっている歯を指します。埋伏歯の周りに嚢胞が形成されたり、手前の歯に悪影響を及ぼしたりした場合には抜歯が必要となります。
【原因第5位】矯正(1.9%)
歯並びの乱れを細かく整える歯列矯正では、不足しているスペースを作り出すために抜歯が必要となることが多いです。いわゆる便宜抜歯の対象となるのは、前から4・5番目の小臼歯です。矯正のためとはいえ、健全な永久歯がなくなることに抵抗を感じる方は少なくありません。
参考URL:公益財団法人8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査」
歯がなくなるとどうなる?
ここからは本題である「歯がなくなるとどうなるのか?」という疑問にお答えします。上段で解説した理由などで歯がなくなり、その状態を放置していると、次に挙げるような症状や変化が現れます。
【症状1】見た目が悪くなる
歯がなくなった場合、始めに気づくのは見た目の変化です。歯列内に歯が1本でもない部分があると、とても目立つからです。多くの人はそれを見た時に「なぜ歯がないんだろう」とか「どうして治療を受けないんだろう」と疑問に感じることでしょう。そうした感情が視線や表情から垣間見えると、歯がないことが恥ずかしくなり、口元を隠すようになる人が多いです。
【症状2】食べ物が噛みにくくなる
そしゃく障害も歯がなくなってすぐに実感する変化のひとつです。とくに奥歯をなくした場合は、食べ物が噛みにくいと感じる場面も多くなることでしょう。その結果、食事の時間が長くなる、食べられる食品や料理の選択肢が減る、あまり噛まずに飲み込むため胃腸に大きな負担がかかるなどのデメリットも生じます。
【症状3】発音や滑舌が悪くなる
歯がなくなった部位や本数によっては、発音・滑舌に悪影響が及ぶこともあります。歯の喪失による発音障害は、前歯部で起こりやすいです。
【症状4】歯並び・噛み合わせが悪くなる
歯を失ってから数ヵ月、あるいは数年かけて起こる変化が歯並び・噛み合わせの乱れです。私たちの歯は歯列内に欠損があると、そこに向かって倒れ込んだり、伸びてきたりする性質があります。その結果として全体の歯並び・噛み合わせが悪くなるのです。ひいては、特定の歯に大きな負担がかかって寿命を縮めたり、顎関節症を誘発したりすることもあるため、十分な注意が必要です。
【症状5】認知症のリスクが上がる
高齢の方の場合は、歯の喪失によって認知症リスクが上昇することもわかっています。歯の本数が少なくなってそしゃく機能が低下すると、脳への刺激も少なくなるからです。上下の歯でしっかり噛めることは、認知機能の維持・向上にもつながります。
歯を失ったときの治療法
このように、歯がなくなるとさまざまなトラブル・デメリットが生じるため、できるだけ早く歯科治療を受けた方が良いといえます。歯を失ったときの治療法としては、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つが用意されています。
【入れ歯】
入れ歯は、人工歯とプラスチック製のプレートから成る着脱式の装置です。部分入れ歯の場合は、クラスプという金属製のフックが付きます。手軽に作れて、修理もしやすいのですが、食事や会話の時にズレたり、見た目が不自然であったりすることから、不満を抱えてしまう患者さんも少なくありません。また、年齢が低い方ほど、入れ歯ではない治療法を希望する傾向にあります。
【ブリッジ】
ブリッジは、人工歯が複数連なった固定式の装置です。欠損部にはポンティックと呼ばれる歯冠部だけの人工歯が配置され、その両隣には一般的な被せ物が連結しています。そのためブリッジを装着する際には、欠損部の歯を少なくとも2本は大きく削らなければなりません。健康な歯の寿命が大きく縮まることから、ブリッジによる治療をためらう方も増えてきています。
【インプラント】
インプラントは、失った歯を歯根から回復できる唯一の装置です。顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込んで、人工歯を装着します。入れ歯のようにズレることはなく、両隣の歯を削る必要もないため、失った歯を補う装置として年々人気が高まっている治療法といえます。インプラントは見た目が美しく、噛み心地も天然歯に近いことから、すべての年齢層の患者さんに推奨できます。ただし、成長期のお子さんや全身状態が悪い高齢の方は向いていません。
まとめ
今回は、「歯がなくなるとどうなるのか」という素朴な疑問にお答えしました。歯周病や虫歯、歯の破折などによって歯がなくなり、その状態を放置していると見た目が悪くなる、食べ物が噛みにくい、歯並び・噛み合わせが乱れるといったデメリットが生じるため、可能な限り早く補綴治療を受けた方が良いといえるでしょう。
補綴治療には、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3種類があり、それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがありますので、どれにしようか迷われている方はいつでもお気軽に東陽町のナオデンタルクリニックまでご相談ください。患者さんの年齢やお口の状態、ご予算に応じた最善といえる治療法をご提案します。
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- テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル - 2021年10月25日