奥歯6番の抜歯、そのまま放置するとどうなる?

虫歯や歯周病などが原因で奥歯6番を抜歯することになった場合、「しばらく噛めているから」「治療が大がかりになりそうだから」と、そのままにしてしまう患者様も少なくありません。
しかし、奥歯6番抜歯後に何もせず放置すると、お口全体のバランスに影響が出ることがあります。東陽町周辺で歯医者を探している方の中にも、奥歯6番を抜歯したまま「今は噛めているから」と様子を見ているケースは少なくありません。
本コラムでは、奥歯6番を抜歯したあとにそのままにする人が多い理由や、放置によって起こりやすいトラブル、今は噛めていても注意が必要な理由、さらに抜歯後に考えられる治療の選択肢と判断の目安について、歯科医師の立場からわかりやすく解説します。
目次
奥歯6番を抜歯したあと、そのままにする人が多い理由

見た目や日常生活で困りにくい
奥歯6番は口を大きく開けない限り外から見えにくく、前歯のように見た目に大きな変化が出にくい歯です。そのため、抜歯後しばらくは見た目の違和感が生じることがなく「生活に支障がない」「今は特に困っていない」と判断してしまう患者様も少なくありません。特に日常会話や軽い食事では不便を感じにくいため、治療の必要性を実感しづらいことが、放置につながる一因となっています。
反対側で噛めていると感じやすい
奥歯は左右でほぼ同じ役割を持っているため、片側の6番を抜歯しても、無意識のうちに反対側で噛む癖がつき、「問題なく噛めている」と感じやすくなります。特に柔らかい食事が中心の生活では、噛む力の偏りに気づきにくく、左右のバランスが崩れていることを自覚しにくい傾向がある点に注意が必要です。実際には、一部の歯に負担が集中している状態が続いていることも少なくないのです。
治療に対する不安や負担
奥歯6番抜歯後の治療には、ブリッジや入れ歯、インプラントなど複数の選択肢がありますが、それぞれに治療期間や費用、通院回数などの違いがあります。そのため、「治療が大がかりになりそう」「費用面が心配」「外科的な処置が怖い」といった不安から、すぐに決断できず、結果として治療を後回しにしてしまう患者様もいらっしゃいます。迷っているうちに時間が経過し、そのまま放置されてしまうケースも決して珍しくありません。
奥歯6番をそのまま放置すると起こりやすいトラブル
噛み合わせの乱れ
奥歯6番を失ったままにすると、周囲の歯が少しずつ動き、噛み合わせのバランスが崩れやすくなります。噛み合う相手の歯が伸びてくる「挺出(ていしゅつ)」や、隣の歯が傾くことで、全体の噛み合わせに影響が及ぶことがあります。
残っている歯への負担増加
奥歯6番は噛む力を支える中心的な歯です。この歯がなくなると、他の歯がその分の力を受け止めることになり、虫歯や歯茎のトラブル、歯の破折につながるリスクが高まります。
顎の骨が痩せていく
歯がある部分では、噛む刺激によって顎の骨が保たれています。抜歯後にそのままにすると刺激が伝わらなくなり、新しい骨を作る細胞(骨芽細胞)の働きが弱まり、骨を壊す働きをする細胞(破骨細胞)が優位になり、顎の骨が少しずつ痩せていくことがあります。
今は噛める状態でも注意が必要な理由

トラブルは時間差で起こる
奥歯6番を抜歯したあとの影響は、すぐに痛みや不調として現れるとは限りません。多くの場合、数か月から数年という時間をかけて、周囲の歯が少しずつ動いたり、噛み合わせが変化したりします。その変化はゆっくり進むため、自覚しにくいのが特徴です。
しかし、違和感を覚えた時点では、歯並びの乱れや骨の変化が進行しており、治療内容が複雑になってしまうケースもあります。今は問題がないように感じていても、将来的なリスクを見据えた判断が重要です。
子どもは顎の成長にも悪影響が及ぶ
子どもや若い世代は、顎の成長や歯の移動が活発な時期にあります。そのため、奥歯6番を失ったままにすると、周囲の歯が動きやすく、噛み合わせのバランスが崩れやすい傾向があります。成長過程で起こった噛み合わせの乱れは、その後の歯並びや顎の発育にも影響を及ぼす可能性があるため要注意です。将来にわたって安定した噛み合わせを保つためにも、早い段階で状態を確認し、必要に応じた対応を検討することが大切です。
全身への影響も考慮
噛み合わせが乱れると、食事の際に十分に噛めなくなり、無意識のうちに噛みやすい側ばかりを使う癖がつくことがあります。このような状態が続くと、顎の関節や周囲の筋肉に負担がかかり、違和感や疲れが生じる原因になることもあります。
また、よく噛めないことで食事内容が偏り、食生活の質が低下する可能性も考えられます。お口の問題は、日々の生活全体に関わることを意識する必要があります。
抜歯後に考えられる治療の選択肢と判断の目安

ブリッジ
ブリッジは、抜歯した奥歯6番の両隣の歯を支えにして人工の歯を固定する治療方法です。装置が固定されるため、違和感が比較的少なく、噛み心地も安定しやすい点が特徴です。一方で、支えとなる歯が健康であっても削る必要があり、長期的にはその歯に負担がかかる可能性があります。そのため、周囲の歯の状態や将来的なリスクを十分に考慮したうえで選択することが重要です。
入れ歯
入れ歯は取り外し式の装置で、外科的な処置を伴わず、比較的短期間で治療が完了する方法です。身体への負担が少なく、幅広い患者様に対応しやすい点がメリットといえます。ただし、噛む力は天然歯に比べて弱くなりやすく、装着時の違和感やズレを覚えることもあります。また、使用を続ける中で歯茎や顎の形が変化し、定期的な調整が必要になる場合があります。
インプラント
インプラント治療は、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に歯を作る方法です。失った歯の部分だけで機能を回復できるため、周囲の歯を削る必要がなく、他の歯に負担をかけにくいという特徴があります。また、噛む力が比較的しっかり伝わりやすく、噛み合わせの安定性を保ちやすい点も利点の一つです。
一方で、外科的処置を伴うため、全身状態や顎の骨の量・質を確認したうえで慎重に判断する必要がありますが、条件が整えば、長期的な視点で選択されることの多い治療法といえます。
治療時期の目安
奥歯6番抜歯後は、できるだけ早い段階で歯科医院に相談し、現在の噛み合わせや歯茎、骨の状態を確認することが大切です。「そのまま様子を見る」という選択が適切かどうかは、患者様一人ひとり異なります。
まとめ
奥歯6番抜歯後にそのまま放置してしまう患者様は少なくありませんが、見た目や一時的な噛みやすさだけで判断すると、後から噛み合わせの乱れや歯茎・骨のトラブルにつながることがあります。特に奥歯6番は、お口全体のバランスを支える重要な歯です。
今は問題なく噛めていると感じていても、将来を見据えた判断が大切になります。抜歯後の治療方法には複数の選択肢があり、それぞれに特徴があります。ご自身に合った方法を見つけるためにも、早めに歯科医院で相談し、無理のない治療計画を立てることをおすすめします。
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